「インプラントは誰でも受けられる治療なのか」
これは、歯科医院での診療や相談の現場において、非常によく寄せられる質問のひとつです。
近年、インプラント治療は広く知られるようになり、歯を失った際の選択肢として検討される方も増えています。その一方で、「自分はインプラントができるのか」「向いていない人もいるのではないか」といった不安を感じている方も少なくありません。
結論からお伝えすると、
インプラントはすべての方に適応できる治療ではありません。
これは、インプラント治療が特別に危険であるという意味ではなく、患者さん一人ひとりの状態によって、慎重な判断が必要になる場合があるということです。
この記事では、歯科医師の立場から、
インプラント治療が難しい、または慎重な判断が必要とされるケースについて、一般的な医学的・歯科的な考え方をもとに解説します。
※本記事は特定の治療を推奨・否定するものではなく、診断に代わるものではありません。実際の治療可否は、歯科医師による診察および検査に基づいて判断されます。
インプラントができない人は本当にいるのか
まず前提として知っておいていただきたいのは、
「絶対にインプラントができない人」は決して多くないという点です。
医療技術の進歩により、以前は難しいと考えられていたケースでも、条件が整えばインプラント治療を検討できる場合もあります。しかし同時に、誰にでも同じように適応できる治療ではないことも事実です。
大切なのは、
「できる・できない」という二択で考えるのではなく、
なぜ慎重な判断が必要なのか、どの部分に配慮が必要なのかを理解することです。
インターネットやSNSの情報だけで判断してしまうと、必要以上に不安になったり、逆にリスクを軽視してしまうこともあります。治療を検討する際には、医学的な視点での判断基準を知ることが重要です。
インプラント治療で慎重な判断が必要となる主なケース

・顎の骨の量や質が十分でない場合
インプラント治療は、顎の骨に人工歯根を埋め込み、その上に歯を装着する治療です。そのため、顎の骨の量や質は治療の土台となる非常に重要な要素です。
例えば、
- 歯を失ってから長期間が経過している
- 歯周病などにより骨が吸収している
- 骨の厚みや高さが十分でない
といった場合、インプラントを安定して固定することが難しくなる可能性があります。
これは、インプラントがしっかりと骨と結合しないと、治療後の安定性に影響するためです。このようなケースでは、治療方法を慎重に検討する必要があり、治療計画の立案が重要になります。
・全身疾患や持病がある場合
インプラント治療は口腔内だけの問題ではなく、全身の健康状態とも深く関係する治療です。
たとえば、
- 糖尿病
- 心臓や血管に関わる疾患
- 免疫機能に影響する疾患
などがある場合、治療の進め方に配慮が必要とされることがあります。
ただし、ここで誤解していただきたくないのは、
持病がある=インプラント治療ができないという意味ではない点です。
重要なのは、病状が安定しているかどうか、服用している薬の内容、主治医との連携が可能かといった点を含めて、総合的に判断することです。患者さんの安全を第一に考えた上で、治療の可否が検討されます。
・喫煙習慣がある場合
喫煙は、口腔内環境や全身の健康に影響を与える要因のひとつです。
一般的に喫煙習慣がある場合、
- 傷の治癒に影響を与える可能性がある
- 口腔内環境が不安定になりやすい
といった理由から、インプラント治療を検討する際には注意が必要とされることがあります。
喫煙の有無は治療判断における一つの要素であり、治療前には十分な説明と検討が行われます。生活習慣も含めて治療を考えることが大切です。
・口腔内の清掃状態が安定していない場合
インプラント治療は、治療そのものだけでなく、治療後の管理が非常に重要です。
日常的なセルフケアが難しい場合や、口腔内に炎症が続いている場合、定期的な通院が難しい状況では、インプラント治療を急がず、まずは口腔内環境を整えることが優先されることがあります。
これは、インプラントを長期的に安定して使うために欠かせない考え方です。
・成長期(若年層)の場合
顎の成長が完了していない時期では、インプラント治療が適さない場合があります。
成長に伴い噛み合わせや骨の位置が変化する可能性があるため、治療のタイミングについては慎重な判断が必要です。ここでは年齢そのものではなく、顎の成長状態が重要な判断基準となります。
「インプラントが難しい」と言われたときの考え方

歯科医院で
「インプラントは難しいかもしれません」
と言われると、不安や戸惑いを感じる方も多いでしょう。
しかし、この言葉は必ずしも
「将来的にもインプラントができない」という意味ではありません。
現在の状態では慎重な判断が必要であったり、事前に準備や治療が必要であったり、他の治療方法も含めて検討した方がよいという意味で使われることもあります。
インプラント以外の選択肢を知ることも重要
歯を失った場合の治療方法は、インプラントだけではありません。
- ブリッジ
- 入れ歯
- 経過観察
など、患者さんの状態や生活背景に応じた選択肢があります。
どの治療方法が適しているかは人それぞれ異なり、一つの方法にこだわる必要はありません。専門家と相談しながら、自分に合った選択を考えることが大切です。
インプラント治療の判断で大切なこと
インプラントができるかどうかを判断する際には、
- 口腔内の状態
- 全身の健康状態
- 生活習慣
- 治療後の管理が可能か
といった複数の要素を総合的に見る必要があります。
そのため、実際の診察や検査を通じて判断することが欠かせません。
まとめ|インプラント治療は条件を踏まえて判断される
インプラント治療は、
「できる・できない」を単純に決められる治療ではありません。
顎の骨の状態や全身の健康状態、生活習慣、治療後の管理が可能かどうかなど、複数の要素を総合的に確認したうえで、慎重に判断されます。
そのため、インターネットの情報だけで自己判断するのではなく、現在のご自身の状態を正しく知ることが大切です。
当院では、治療を前提としたものではなく、
不安や疑問を整理するための「無料カウンセリング」を行っています。
「自分の状態でインプラントが検討できるのか」
「どのような選択肢が考えられるのか」
といった点について、専門家の立場からわかりやすくご説明します。
インプラント治療について迷いや不安がある方は、まずはお気軽にご相談ください。
ご自身にとって無理のない選択を考えるための一歩として、無料カウンセリングをご活用いただければと思います。
よくある質問(FAQ)
Q1. インプラントは本当に誰でも受けられる治療ですか?
インプラントは多くの方にとって選択肢となる治療ですが、すべての方に適応できるわけではありません。
顎の骨の状態や全身の健康状態、生活習慣などを総合的に考慮したうえで、慎重に判断されます。
Q2. 「インプラントが難しい」と言われた場合、もうできないという意味ですか?
必ずしもそうではありません。
現在の状態では慎重な判断が必要である、あるいは事前の準備や別の治療が必要であるという意味で使われることもあります。
状況に応じて判断されるため、診察をもとに説明を受けることが大切です。
Q3. 顎の骨が少ないとインプラントはできませんか?
顎の骨の量や質は重要な判断材料ですが、骨が少ない=必ずできない、というわけではありません。
まずは骨の状態を正確に確認し、そのうえで治療方法を慎重に検討します。
Q4. 持病があるとインプラント治療は受けられないのでしょうか?
持病がある場合でも、必ずしもインプラント治療ができないわけではありません。
病状の安定性や服用している薬の内容、全身の健康状態などを踏まえ、総合的に判断されます。
Q5. 喫煙しているとインプラント治療は難しくなりますか?
喫煙習慣がある場合、治療の進め方について注意が必要とされることがあります。
喫煙の有無は判断材料のひとつであり、治療前には十分な説明と検討が行われます。
Q6. インプラント治療後のケアはどのくらい重要ですか?
インプラント治療後は、日常的なセルフケアや定期的な通院による管理が重要です。
口腔内の清掃状態が安定していない場合は、治療を急がず環境を整えることが優先されることもあります。
Q7. インプラント以外の治療方法を選ぶのは問題ありませんか?
問題ありません。
歯を失った場合の治療方法には、ブリッジや入れ歯など複数の選択肢があります。
ご自身の状態や生活背景に合った方法を、専門家と相談しながら選ぶことが大切です。
監修者プロフィール

院長医師:藤本 純
鹿児島大学歯学部歯学科卒業後、大学附属病院や複数の歯科医療機関にて臨床経験を積み、2023年よりデンタルチームジャパン院長に就任。
小児から成人まで幅広い診療に携わり、丁寧でわかりやすい説明を大切にしている。
【経歴】
2002.3 鹿児島大学歯学部歯学科 卒業
2002.6 鹿児島大学歯学部附属病院 医員(小児歯科)
2004.5〜 たかもと歯科クリニック 副院長
2007.3〜 医療法人喜心会 吉岡歯科クリニック
(2008.4〜副院長)
2015.11 デンタルチームジャパンへ
2023.1 デンタルチームジャパン 院長就任
【所属】
・公益社団法人日本小児歯科学会会員
・公益社団法人日本矯正歯科学会会員
・顎顔面インプラント学会会員
・先端インプラント歯科技術トレーニング研究会 幹事
・OSSTEM JAPAN 臨床指導医
・福岡医療短期大学非常勤講師(先端臨床歯科学・口腔インプラント治療担当)


