
「大人の矯正は期間が長いって本当?」「仕事が忙しいけど通院頻度はどれくらい?」そんな疑問をお持ちではありませんか。
大人の矯正期間は平均1〜3年ですが、治療法や歯並びで変わります。
この記事では、矯正の種類別の期間や通院頻度、保定期間まで詳しく解説します。
大人の矯正にかかる期間の目安は平均1年〜3年
まず結論からお伝えすると、大人になってから始める歯列矯正の治療期間は、全体的な歯並びを治す場合で平均して1年〜3年程度が目安となります。
しかし、これはあくまで一般的な目安であり、実際の期間は個人の歯並びの状態、骨格、年齢、そして選択する治療方法によって大きく変動します。
なぜこれほど期間に幅があるのか、その理由を治療範囲の違いから見ていきましょう。
全体矯正と部分矯正の期間の違い
歯列矯正は、治療する範囲によって「全体矯正」と「部分矯正」の2つに大別され、それぞれで必要な期間が大きく異なります。
どちらの治療法が適しているかは、患者様の歯並びの状態や希望によって決まります。
それぞれの治療期間の目安を理解することで、ご自身のライフプランに合わせた矯正治療を選択しやすくなるでしょう。
自分の理想とする歯並びと、許容できる治療期間を考慮して、最適な方法を選ぶことが大切です。
全体矯正にかかる期間
全体矯正とは、前歯だけでなく奥歯までを含めたすべての歯を動かし、見た目の美しさはもちろん、上下の歯の噛み合わせを根本から改善する治療法です。
歯を動かす本数が多く、移動距離も長くなるため、治療期間も長くなる傾向があります。
一般的には2年〜3年程度の期間を要することが多く、歯を並べるスペースを確保するために抜歯が必要なケースでは、さらに半年から1年ほど期間が延びることもあります。
部分矯正にかかる期間
部分矯正は、「前歯の隙間だけ」「下の歯のがたつきだけ」というように、気になる一部分の歯並びだけをピンポイントで整える治療法です。
動かす歯の本数が少なく、移動距離も短いため、治療期間は比較的短期間で済みます。
症例にもよりますが、数ヶ月〜1年半程度で治療が完了することが一般的です。
ただし、奥歯の噛み合わせに問題がある場合など、部分矯正では対応できないケースもあります。
【種類別】大人の歯列矯正にかかる期間
大人の矯正には様々な種類の装置があり、どの方法を選択するかによっても治療期間の目安は変わってきます。
ここでは代表的な3つの矯正方法について、それぞれの期間と特徴を解説します。
それぞれの装置にはメリット・デメリットがあり、治療期間だけでなく、見た目、費用、快適性なども考慮して選択することが重要です。
ワイヤー矯正(表側)

歯の表面にブラケットという装置を接着し、そこにワイヤーを通して歯を動かす、最も歴史と実績のある矯正方法です。
様々な歯並びの症例に対応できる適応範囲の広さが特徴です。
歯を動かす力が強く、効率的に治療を進められるため、全体矯正で2年~3年程度が標準的な治療期間となります。他の治療法に比べて、比較的計画通りに期間が進みやすい治療法とも言えます。
裏側矯正(リンガル矯正)
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歯の裏側(舌側)に装置を取り付けるため、外からは矯正していることがほとんど見えない、審美性に優れた治療法です。
一方で、装置が舌に当たりやすく、慣れるまでは話しにくさや違和感を感じることがあります。
装置の構造が複雑で、ワイヤーの調整に高度な技術を要することから、表側矯正に比べて治療期間が数ヶ月ほど長くなる傾向があります。
しかし、近年は技術の進歩により、表側矯正とほとんど変わらない期間で治療を終えられるケースも増えています。
マウスピース矯正

透明なマウスピース型の装置を、段階的に交換していくことで歯を動かす比較的新しい治療法です。
目立ちにくく、食事や歯磨きの際には自分で取り外せる手軽さが人気です。
治療期間は症例によって幅広く、1年〜3年程度が目安となります。
歯を動かす量が少ない部分矯正であれば1年未満で終わることもあります。
ただし、この期間は患者さん自身が1日20〜22時間以上という装着時間を厳守することが大前提となり、自己管理が治療期間を大きく左右します。
大人の矯正期間が長引いてしまう理由
「当初の予定より治療期間が延びてしまった」という話を聞くことがあります。
大人の矯正期間が計画よりも長引いてしまうのには、いくつかの理由が考えられます。
例えば、抜歯が必要なほど歯を動かすスペースが不足している場合や、治療中に虫歯や歯周病といった別の口腔トラブルが発生してしまうケースです。
抜歯が必要なケース
顎が小さいなどの理由で、歯をきれいに並べるためのスペースが不足している場合、抜歯をしてスペースを確保する必要があります。
抜歯によってできた隙間を埋めるように歯を動かしていくため、抜歯をしない場合に比べて歯の移動距離が長くなります。
その結果、治療期間も半年から1年程度、長くなるのが一般的です。
虫歯や歯周病など口腔内のトラブル
矯正装置を装着していると、歯磨きがしにくくなるため、虫歯や歯周病のリスクが高まります。
もし治療中にこれらのトラブルが発生した場合、矯正治療を一時的に中断し、虫歯や歯周病の治療を優先しなければなりません。
例えば、虫歯が進行して神経の治療が必要になったり、歯周病で歯茎が腫れてしまったりすると、その治療が終わるまで矯正装置を調整できなくなります。
その中断期間の分だけ、全体の矯正期間は延長されることになります。
指示通りに装置を装着・通院しなかった
矯正治療は、歯科医師と患者さんが協力して進めていくものです。
特にマウスピース矯正において、指示された装着時間を守らなかったり、ワイヤー矯正で「顎間ゴム」と呼ばれるゴムかけを怠ったりすると、歯は計画通りに動きません。
また、予約日に通院せず、装置の調整が遅れることも、治療期間が長引く直接的な原因となります。
決められたルールを守ることが、期間内に治療を終えるための鍵となります。
大人の歯列矯正の通院頻度の目安
治療期間中、どのくらいの頻度で歯科医院に通う必要があるのかは、仕事やプライベートとの両立を考える上で非常に重要なポイントです。
通院頻度も、矯正装置の種類によって異なります。
ここでは、代表的な矯正方法であるワイヤー矯正とマウスピース矯正、それぞれの通院頻度の目安について解説します。
ワイヤー矯正の通院頻度
ワイヤー矯正では、歯科医師が定期的にワイヤーの交換や調整を行うことで歯を動かしていきます。
そのため、3〜4週間に1回程度の通院が必要です。
毎回、歯の動き具合をチェックし、次の段階に進むための細かな調整が行われます。
マウスピース矯正の通院頻度
マウスピース矯正は、患者さん自身が決められたスケジュールに沿って新しいマウスピースに交換していくため、ワイヤー矯正に比べて通院頻度は少なくて済みます。
歯の動きに問題がないか、装置が適合しているかなどをチェックするために、1.5ヶ月~3ヶ月に1回程度の通院が一般的です。
通院の負担が少ないため、忙しい方や遠方にお住まいの方にも選ばれやすい治療法です。
矯正治療後の「保定期間」とは?
「歯を動かす期間が終われば、それで矯正治療は完了」と思われがちですが、実はそれは間違いです。
動かしたばかりの歯は、元の位置に戻ろうとする「後戻り」という現象を起こしやすい不安定な状態にあります。
歯を動かす「動的治療期間」の後には、歯並びを安定させるための「保定期間」が待っています。
この期間の過ごし方が、矯正治療の成否を決めると言っても過言ではありません。
保定期間の重要性
矯正装置によって動かされた歯は、その直後はまだ周囲の骨が固まっておらず、非常に不安定な状態です。
この後戻りを防ぎ、移動した先の新しい位置で歯並びをしっかりと定着させるために、「リテーナー」と呼ばれる保定装置を装着するのが保定期間です。
歯の周りの組織が新しい歯並びに合わせて再構築され、歯がその位置にしっかりと固定されます。
せっかく時間と費用をかけて手に入れた美しい歯並びを維持するために、保定期間は不可欠なのです。
保定期間はどれくらい必要?
保定期間の目安は、最低でも歯を動かした動的治療期間と同じくらいの期間とされています。
例えば、2年間かけて歯を動かしたのであれば、最低でも2年間の保定が必要です。
一般的には、治療後1年間は食事と歯磨き以外の時間は常に装着し、その後は徐々に装着時間を減らしていくケースが多いです。
保定期間中の通院頻度は、3ヶ月~半年に1回程度となります。
後戻りのリスクは生涯続くと考えられており、可能な限り長期間、特に就寝中だけでもリテーナーの使用を続けることが、理想的な歯並びを維持する上で推奨されています。
大人が歯列矯正を行うメリット
長い期間が必要となる大人の矯正ですが、それを乗り越えた先には多くのメリットがあります。
見た目のコンプレックスが解消される
最大のメリットは、やはり見た目の改善です。
歯並びが整うことで口元の印象が美しくなり、長年抱えていたコンプレックスから解放されます。
人前で自信を持って笑えるようになったり、写真写りを気にしなくなったりと、精神的に非常に大きなプラスの効果をもたらします。
虫歯や歯周病のリスクを軽減できる
歯並びが整うと、歯が重なり合っていた部分がなくなり、歯ブラシが隅々まで届きやすくなります。
これにより、磨き残しが減って清掃性が格段に向上し、虫歯や歯周病の予防につながります。
将来にわたって自分の歯を健康に保つための、最高の自己投資とも言えるでしょう。
大人が歯列矯正を行うデメリット
メリットだけでなく、治療を受ける上で知っておくべきデメリットも存在します。
メリットばかりに目を向けるのではなく、起こりうるリスクや負担についても正しく理解しておくことで、後悔のない治療選択が可能になります。
治療中に痛みや違和感を感じることがある
矯正装置を調整した後や、新しいマウスピースに交換した後の数日間は、歯が動くことによる痛みや、締め付けられるような違和感を感じることがあります。
また、装置が口の中の粘膜に当たって口内炎ができやすくなることもあります。
これらの多くは時間と共に慣れていきますが、一定の不快感が伴うことは理解しておく必要があります。
費用が高額になる場合がある
歯列矯正は、一部の例外を除いて公的医療保険が適用されない自由診療です。
そのため、治療費は全額自己負担となり、総額で数十万円から百万円以上になることも珍しくありません。
部分矯正は比較的安価ですが、全体矯正、特に裏側矯正などは高額になる傾向があります。
治療を開始する前に、総額でいくらかかるのか、分割払いやデンタルローンなどの支払い方法はあるのかなど、費用についてもしっかりと確認し、納得した上で契約することが重要です。
子どもの矯正と大人の矯正の違い
「子どもの頃にやっておけばよかった」と考える方も多いかもしれません。
子どもの矯正と大人の矯正では、治療のアプローチに根本的な違いがあります。
骨の成長段階と治療計画
子どもの矯正(小児矯正)は、顎の骨がまだ成長・発育段階にある時期に行います。
そのため、顎の成長をコントロールしながら、歯が正しく並ぶための土台作りを行うことができます。
一方、大人の矯正は、すでに顎の骨の成長が完了している状態からスタートします。
そのため、骨格そのものを大きく変えることはできず、現在ある顎の骨の中で歯を動かして歯並びを整える治療が中心となります。
治療の目的とアプローチ
子どもの矯正は、顎の成長を促す「第一期治療」と、永久歯が生えそろってから歯並びを整える「第二期治療」に分かれることがあります。
これに対し、大人の矯正は基本的に歯並びと噛み合わせを整える治療のみとなります。
骨の反応も子どもの方が活発なため、一般的に歯の動くスピードは大人の方が緩やかになります。
まとめ:大人の矯正期間は治療法や歯並びで変わる!まずは専門医に相談しよう
大人の歯列矯正にかかる期間は、全体矯正で平均1年~3年が目安ですが、部分矯正か全体矯正か、どの種類の装置を選ぶか、そして何よりもあなた自身の歯並びの状態によって大きく異なります。
また、治療を成功させるためには、歯を動かす期間と同じくらい、治療後の保定期間が重要であることも忘れてはいけません。
ご自身のケースで、具体的にどのくらいの期間が必要で、どのような治療法が最適なのかを知るためには、専門家である矯正歯科の医師による精密検査と診断が不可欠です。
多くの歯科医院では無料カウンセリングを実施していますので、まずは気軽に相談し、あなたの疑問や不安を解消することから始めてみてはいかがでしょうか。